骨粗しょう症(骨粗鬆症)とは
骨粗しょう症とは、骨の密度が低下して骨折しやすくなる病気です。
骨粗しょう症により骨がもろくなると、つまずいて手や肘をついた、くしゃみをした、などちょっとしたことで骨折をしてしまうことがあります。
骨折すると、身体機能の低下をきたし、生活の質が低下し、最悪のケースは寝たきりになり介護が必要になってしまうこともあります。
こういったことを防ぐためには、あらかじめ骨粗しょう症を治療し、骨折を予防することが大切です。
骨粗しょう症の症状
骨粗しょう症になっても痛みがないのが普通です。下記のような症状があれば骨粗しょう症かもしれません。
- 前より身長が低くなった気がする
- 背中や腰が曲がってきた
- 背中や腰に痛みを感じる
- 手足の関節が痛む
骨粗しょう症は痛みなどの自覚症状がないことが多く、定期的に骨密度検査を受けるなど、日ごろから細やかなチェックが必要です。
骨粗しょう症の原因
骨粗しょう症の原因は、大きく3つのタイプにわけられます。
加齢
加齢によって骨密度が低下するのは、カルシウムの吸収を助けるビタミンDをつくる働きが弱くなったり、腸管でのカルシウムの吸収が悪くなるなどの理由があります。また、加齢によって、食事の好みや運動量が減るといった生活習慣の変化も関係します。
女性ホルモンの低下
ス骨粗しょう症は、特に女性が多い病気で、患者様の8割前後が女性といわれております。エストロゲン(女性ホルモンの一種)は、骨からカルシウムが溶けだすのを抑制する働きがあり、女性ホルモンの分泌が低下しますと、急激に骨密度が減ります。
そのため、同年代の男性に比べて女性は早く骨密度が低くなります。
生活習慣
運動不足や寝たきりにより、骨への負荷が不足すると骨量は減少します。また食事からのカルシウム・ビタミンD・ビタミンKなどの不足は骨密度・骨質の低下につながります。
骨粗しょう症(骨粗鬆症)の治療
当院では、患者様の状態に合わせた治療を行っております。
薬物療法
薬物療法では、カルシウムやビタミンDなどの内服薬や骨吸収阻害剤を服用していただき、定期的な検査を行い、効果を確認しながら治療を進めます。 患者様の症状に併せた治療を行っていきます。
食事療法
カルシウム、ビタミンD、ビタミンKなど、骨の形成に役立つ栄養素を摂るように心がけましょう。
カルシウムとビタミンDを同時に摂ることで、腸でのカルシウム吸収率がよくなり、高齢になると、食の好みが変化、小食になりタンパク質の摂取量は不足する傾向があります。
タンパク質の摂取量が少ないと骨密度低下につながります。
栄養やカロリーのバランスがよい食事を規則的に摂るのが、食事療法の基本です。
運動療法
骨は、負荷がかかるほど骨をつくる細胞が活発になり、強くなる性質があり、筋肉も適度に鍛えることでバランスが良くなります。散歩や階段を使うなど、日常生活の中で運動量をできるだけ増やしましょう。
当院の骨粗しょう症(骨粗鬆症)治療について
つかさ整形外科では、骨粗しょう症に対して、4種類の薬を用いて治療をしていきます。
患者様の状況を見ながら、医師が判断していきます。
骨形成促進薬
- イベニティ
- イベニティは、骨の形成を促進、かつ骨の吸収を抑制する2つの効果が得られる新しい治療薬です。この薬は、12カ月間の投与によって骨折リスクを減少させることが確認されています。治療は月に1回、皮下注射で行い、12カ月間続けられます。
- テリボン
- テリボンは、骨の形成を促進、骨を再生する薬です。骨芽細胞を活性化し、新しい骨を形成することで骨の強度を高める「骨形成促進薬/テリパラシド(副甲状腺ホルモン)」に分類されます。骨密度が極めて低い重症患者に適した治療で、治療は週1回の皮下注射で行われ、治療時期は生涯で2年間のみ可能です。テリボンの自己注射もあります。
骨吸収抑制薬
- プラリア
- プラリアは、半年に1回の皮下投与で優れた骨折予防効果を出る薬です。従来の「骨祖しょう症」治療薬とは異なる作用機序を持つ注射薬で、いわゆる「生物学的製剤」です。プラリアは骨の吸収を抑制する作用のみを強く持つ薬です。
- ボンビバ
- ボンビバの特徴は、1カ月に1回、1mgを静脈注射で済むことにあります。ビスフォスフォネートの経口製剤では、服用後30分は横にならない、服薬前後に水を除く飲食並びに他の薬剤の経口摂取を避ける、といった規制が必要であるが、ボンビバではこうした規制が必要ありません。
骨粗しょう症(骨粗鬆症)の重症度で必要な治療を考える
骨粗鬆症の薬物治療を始めるためには、一定の基準を満たす必要があります。すべての方が治療を受けられるわけではありません。
「骨粗鬆症の予防治療ガイドライン2015年版」により、大腿骨近位部や前面椎体に脆弱性骨折が確認された場合、薬物治療が推奨されています。
さらに、他の脆弱性骨折(肋骨、骨盤、上腕骨近位部、橈骨遠位端、下腿骨)を伴い、骨密度がYAMの80%未満であれば、治療開始の対象となります。
脆弱性骨折がない場合でも、骨密度が低い場合は、WHOが提供するFRAX®ツールを使用して10年間の骨折リスクを計算し、リスクが高い場合には薬物治療が検討されます。大腿骨近位部骨折の家族歴や骨密度測定結果が重要な指標となります。
原発性骨粗鬆症の薬物治療開始基準
#1 軽微な外力によって発生した非外傷性骨折。 軽微な外力とは、立った姿勢からの転倒か、それ以下の外力をさす。
#2 形態椎体骨折のうち、3分の2は無症候性であることに留意するとともに、鑑別診断の観点からも脊椎エックス線像を確認することが望ましい。
#3 その他の脆弱性骨折:軽微な外力によって発生した非外傷性骨折で、骨折部位は肋骨 骨盤 (恥骨、坐骨、仙骨を含む)、上腕骨近位部、橈骨遠位端、下腿骨。
#4 骨密度は原則として腰椎または大腿骨近位部骨密度とする。 また、複数部位で測定した場合にはより低い %値または SD値を採用することとする。腰椎においてはL1~L4またはL2~L4を基準値とする。
ただし、高齢者において、脊椎変形などのために腰椎骨密度の測定が困難な場合には大腿骨近位部骨密度とする。大腿骨近位部骨密度には頚部または total hip (total proximal femur)
を用いる。これらの測定が困難な場合は橈骨、第二中手骨の骨密度とするが、この場合は%のみ使用する。
#5 75歳未満で適用する。また、50
歳代を中心とする世代においては、より低いカットオフ値を用いた場合でも現行の診断基準に基づいて薬物治療が推奨される集団を部分的にしかカバーしないなどの限界も明らかになっている。
#6
この薬物治療開始基準は原発性骨粗鬆症に関するものであるため,、FRAX®の項目のうち糖質コルチコイド、関節リウマチ、続発性骨粗鬆症にあてはまる者には適用されない。すなわち、これらの項目がすべて「なし」である症例に限って適用される。
引用:骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン2015年版
特に高い効果が期待される「イベニティ」を使用するには、以下の条件を満たしている必要があります。
これらは日本骨代謝学会および日本骨粗鬆症学会の基準に基づいています。
- 骨密度値が2.5SD以下で1個以上の脆弱性骨折を有する
- 腰椎骨密度が3.3SD未満
- 既存椎体骨折の数が2個以上
- 既存椎体骨折の半定量評価法結果がグレード3
当院では骨粗鬆症治療を開始する前に採血を行い、骨や骨吸収に関連する細胞の値を確認したうえで、適切な治療を開始させていただきます。
このように、患者様の背景や骨の状態を総合的に評価し、重症度に応じて治療を進めていきます。