変形性膝関節症
変形性膝関節症とは
変形性膝関節症とは、膝関節の軟骨が加齢や筋肉量の低下などによって摩耗し、痛みを引き起こす病気です。軟骨の減少により、膝関節の骨同士が摩擦し、骨の変形や突起物の形成が起こることが特徴です。また、関節包の炎症によって膝に水がたまることもあります。
- 軽度から中度
軟骨がすり減り、関節のすきまがせまくなる。 - 重症
軟骨がなくなり、骨が直接ぶつかるため、激しい痛みを引き起こす。
変形性膝関節症の原因
加齢による軟骨の水分量と弾力性の低下が主な原因です。女性は40歳以上、男性は50歳以上で発症が増えます。肥満や激しい運動など、軟骨の摩耗を促進するリスク要因も関与します。
<変形性膝関節症になりやすい人は?>
- 女性では40歳以上、男性では50歳以上の人
- 肥満
- 激しい運動をしていた、している人
- 膝に負担のかかる肉体労働(農業、漁業など)をしている人
- リウマチ、骨壊死などの既往歴がある人
変形性膝関節症の症状
膝への痛みや変形が主な症状です。初期は運動時の痛みがあり、進行すると痛みが慢性化し、関節の可動域が制限されます。重症化すると歩行障害や不安定な膝の状態が現れます。
<変形性膝関節症の症状チェック>
変形性膝関節症の主な症状は、膝の痛みと膝の変形です。
その進行についてご説明します。
初期 症状 |
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中期 症状 |
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末期 症状 |
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変形性膝関節症の検査と診断
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診察
問診では、日常生活での痛みの程度、症状の現れ方、スポーツ歴などをお伺いします。さらに、膝関節の視診と触診を行い、変形の有無や不安定性の程度を確認します。 - 検査
診察の上で、レントゲン検査を行い、診断します。他の疾患との鑑別のため、MRI検査や血液検査を行うこともあります。
変形性膝関節症の治療方法
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薬物療法
消炎鎮痛剤の服用や湿布・軟膏の外用などの方法があります。 - リハビリテーション
運動療法や物理療法などのリハビリテーションを提供しています。広々としたフロアで、医師の指導に基づいた適切なリハビリに取り組んでいただけます。 -
保存療法
ヒアルロン酸を膝関節内に注入することで(アルツディスポ)、膝の痛み、炎症の軽減が期待されます。アルツディスポは定期的に注入する必要がありますが、患者様の症状に応じて注射回数を調整できます。 - 手術をしない新しいひざ治療『再生因子注入療法リペアニーズ』
加齢や運動によって変形したひざ関節を、入院や手術をせずに治癒を促す方法があります。
それは、ご自身の血液から採取した再生因子を注入する「リペアニーズ治療」です。
「手術以外にはどうすることもできない」となる前に、手術に頼らずに変形を修復し、痛みを軽減することを目指すリペアニーズをご検討ください。
詳しくはこちら -
手術療法
保存療法で十分な効果が得られない場合は、手術が検討されます。手術には、関節鏡を用いたクリーニング手術、骨切り術、人工関節置換術などがあります。
変形性膝関節症の人がしてはいけない動き
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激しい運動
無理な運動は膝の軟骨の摩耗を加速させます。ウォーキングや水泳など膝への負担の少ない運動を行いましょう。 - 階段の上り下り
必要最小限度の階段の昇降にしましょう。 -
正座、ペタン座り
膝関節に余計な負担をかけるため避けましょう。座る際は椅子を利用するのが理想です。 - 和式トイレの常用
膝に大きな負担をかける姿勢なので、できるだけ洋式トイレを使用しましょう。 - 重い物の上げ下げ
膝への負担が大きくなります。特に布団の上げ下げは注意が必要です。家族の手を借りるか、ベッドへの変更を検討しましょう。 -
飲酒・喫煙
飲酒や喫煙は軟骨の健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、できる限り避けましょう。
変形性膝関節症予防のためのストレッチ
変形性膝関節症を予防するために有効なストレッチをご紹介します。無理のない範囲で行い、椅子を使用する場合は安全なものを選びましょう。
<膝のストレッチ>
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ひざ周りのストレッチ
- 仰向けになり、片脚の太腿の裏を両手で抱え込みます。
- 抱え込んだ脚を引き寄せ、5秒間静止します。
- 以上の動作を10回繰り返し、反対側の脚でも同様のことをします。
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太もも裏のストレッチ
- 床にお尻をつけ、開脚します。
- 片方の脚を、楽な角度で曲げます。
- 伸ばしている側の脚の先に向けて、背筋を伸ばしたまま、身体を倒していきます。この状態で、10秒間静止します。
- 以上の動作を10回繰り返し、反対側の脚でも同様のことをします。
<脚の筋力トレーニング>
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太ももの筋力トレーニング
- 椅子に浅く腰かけ、丸めたタオルを膝の間に挟みます。
- 片側の膝を真っすぐ伸ばし、脚を10cm上げて10秒間保持します。
- 以上の動作を10回繰り返し、反対側の脚でも同様のことをします。
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ひざの筋力トレーニング
- 椅子に浅く腰かけ、肩幅程度に両足を開きます。
- クッションや座布団などを膝の間に挟み、両膝を内側に寄せて5秒間保持し、力を抜きます。
- 以上の動作を10回繰り返します。
診療科目
- 整形外科
- リウマチ科
- リハビリテーション