関節リウマチ

関節リウマチとは

関節リウマチとは、免疫系の異常によって関節の内側にある滑膜が炎症を起こし、関節の腫れや痛みを引き起こす疾患です。関節リウマチが進行すると、軟骨や骨が損傷し、関節の正常な機能が制限され、日常生活に支障を来たすことがあります。関節リウマチは全国で70万人以上の患者に影響を及ぼしており、特に30~50歳代の女性に多く見られますが、最近の報告では80代でも発症することもあります。この疾患の原因は完全には解明されていませんが、遺伝的要因とウイルスなどの外部刺激が免疫システムに異常を引き起こし、関節リウマチが発症する可能性があると考えられています。

このような疾患は自己免疫疾患に分類され、関節リウマチの場合、滑膜が誤って自己免疫攻撃の対象とされるために炎症が発生します。

関節リウマチの症状

関節リウマチには以下のような症状が現れることがあります。

関節症状 朝のこわばり
関節の腫れ、痛み
関節の変形
(手の指の付け根の関節から親指以外の指が
外を向く尺側偏位、足の指では外反母趾)
全身症状 発熱、疲れやすい、食欲がない、体重減少、貧血症状

手首や指などの関節に痛みや腫れが現れ、朝起きたときに関節のこわばりを感じた場合、整形外科を受診することをお勧めします。関節の痛みを伴う疾患は多く存在し、関節リウマチであっても初期段階では確定的な診断が難しいことがあります。しかし、関節リウマチの早期発見と早期治療は極めて重要です。近年、患者の多くが関節の変形を未然に防ぎ、寛解(病状が安定する状態)に達することが可能になりました。自己判断をせず、初期の関節リウマチの兆候を見逃さないようにすることが肝要です。

関節リウマチの診断

関節リウマチの診断には、症状(特に関節の腫脹)、血液検査(炎症指標や血清学的因子の検査)、画像検査(X線やエコーなど)が総合的に用いられます。他の関節疾患との鑑別が必要であり、最新の研究と治療の進歩により、2010年にアメリカリウマチ学会とヨーロッパリウマチ学会が共同で分類基準を策定し、早期診断と早期治療の必要性が強調されています。

関節リウマチの治療

関節リウマチの治療にはいくつかの方法があります。

<薬物治療>

  • 非ステロイド性抗炎症薬
    非ステロイド性抗炎症薬はプロスタグランジンと呼ばれる物質が痛みと関連するのを抑え、関節リウマチの痛みと炎症を和らげます。ただし、病気の進行を防ぐ効果はありません。
  • ステロイド
    ステロイドは活動性の高い関節リウマチに対して、抗リウマチ薬の補助として使用されます。効果が速いため、日常生活の質を改善できます。ただし、長期間の使用は糖尿病、骨粗しょう症、白内障、感染症などの合併症を引き起こす可能性があるため、抗リウマチ薬が効果を発揮し始めたら、できるだけ早く減量または中止することが推奨されます。
  • 抗リウマチ薬
    抗リウマチ薬は関節リウマチ治療の中核を担う薬物で、免疫系の異常を調整または抑制することによって効果を発揮します。初期には非ステロイド性抗炎症薬やステロイドと併用されることもありますが、効果が現れるとこれらの薬を停止することができます。治療の効果は個人によって異なりますが、一部の抗リウマチ薬は高い有効性を持ち、関節破壊の進行を遅らせることができます。ただし、骨髄抑制、肝機能障害、間質性肺炎などの重篤な副作用があるため、薬物の使用中には定期的な検査が重要です。
  • 生物学的製剤
    生物学的製剤は炎症性サイトカイン(TNFα、IL-1、IL-6など)やT細胞などを標的にして炎症を抑え、軟骨や骨の破壊を劇的に減少させる薬物です。抗リウマチ薬の効果が不十分な場合に使用され、点滴または皮下注射として投与されます。多くの生物学的製剤が利用可能で、患者が自己注射できるキットも提供されています。ただし、感染症を含む副作用や高価な点も考慮すべきです。生物学的製剤の使用と他の薬物の組み合わせに関する詳細情報は、専門医の助言を受けることが重要です。

<リハビリテーション>

リハビリテーションは関節リウマチ患者に対する重要なアプローチで、以下の療法があります。

  • 運動療法
    運動療法は筋力を維持・強化し、関節の動きを改善させます。手術後などでは特に重要ですが、運動は関節変形の進行を助長しないように慎重に行う必要があります。
  • 物理療法
    物理療法は関節を温め、血流を改善し、痛みを緩和してからリハビリを行う治療法です。超音波、レーザー、ホットパックなどが使用されます。
  • 作業療法
    日常生活の具体的な動作に対して行うリハビリで、手や指の機能を回復するのに役立ちます。患者が自分の興味に合わせた活動を通じてリハビリを行うのが効果的です。
  • 装具療法
    負担を軽減し、変形を予防または矯正するための装具が使用されます。サポーターや個別に設計された装具があります。
    • ご自宅でできる体操
      リウマチ体操 (※図) は運動療法の基本です。運動にはストレスを軽くして免疫力を高め、関節が固まるのを予防する効果があります。無理のない範囲でからだを動かしましょう。

ページの先頭へ